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忘れられた巨人/The Buried Giant

著者:カズオ・イシグロ Kazuo Ishiguro
訳者:土屋政雄
カバーイラスト:桑原紗織
カバーデザイン:坂川栄治+鳴田小夜子(坂川事務所)
早川書房
2017年10月25日 発行
2017年10月27日 第3刷

第1部から徐々に湧き上がったモヤモヤしていた感情は第4部で「これは恐怖だ!」と確信した。
まだ、鬼もいて竜もいる時代。記憶を奪う霧が国土を覆う。その国に住まう老夫婦が息子に会いに行く。
記憶を奪う霧よりも、鬼よりも、その老夫婦が怖かった。

老夫婦の何が怖かったのだろうか。
「お互いを大事に思っている」、「思っているはずだ」、「わかりあっているから大丈夫」、「大丈夫なはずだ」
そこには書かれていないモノローグが聞こえてくるようで怖かった。
途中途中で夫婦の絆が試される場面があるたびに、鳥肌が立った。

10年前に読んでいたら、全く違う感想を持ったと思う。
自分にとって怖いと思うことが変わったんだという事に驚いた。

「忘れられた巨人」を忘れられたままにはできない。
現実に世界各地で「忘れられた巨人」が目覚め始めている気がする。