memo/読書きろく/忘れられた巨人
Jun 1, 2019
忘れられた巨人/The Buried Giant
第1部から徐々に湧き上がったモヤモヤしていた感情は第4部で「これは恐怖だ!」と確信した。
まだ、鬼もいて竜もいる時代。記憶を奪う霧が国土を覆う。その国に住まう老夫婦が息子に会いに行く。
記憶を奪う霧よりも、鬼よりも、その老夫婦が怖かった。
老夫婦の何が怖かったのだろうか。
「お互いを大事に思っている」、「思っているはずだ」、「わかりあっているから大丈夫」、「大丈夫なはずだ」
そこには書かれていないモノローグが聞こえてくるようで怖かった。
途中途中で夫婦の絆が試される場面があるたびに、鳥肌が立った。
10年前に読んでいたら、全く違う感想を持ったと思う。
自分にとって怖いと思うことが変わったんだという事に驚いた。
「忘れられた巨人」を忘れられたままにはできない。
現実に世界各地で「忘れられた巨人」が目覚め始めている気がする。