memo/読書記録/LAフード・ダイアリー
Aug 10, 2021
“LAのタコス”で考える多様性
「他人の日記を読む」のは、どうして楽しいのか?
自分との比較や、類似点でその暮らしぶりを想像したり、共感したり、またその反対だったり。
読む側にとってはドキュメンタリーなのかモキュメンタリーなのか曖昧なままでも問題ない。
本著を読みたいと思った動機は、「LAのグルメ堪能日記」だと勘違いしたから。
実際読んでみたら、「そうであり、それだけではない」ものでした。
日本から海外へ行った場合多くが「日本との違い」を意識的に見つけようとするところはあると思うのですが、それが「残念なこと」ではなく、どうしてそうなるのか社会的な背景や、著者の専門である映画をからめて考察している点が興味深かったです。
特に、“LAの食文化”から考えた「多様性」への問い。
最近「多様性」という言葉に対して感じていた、モヤモヤ(例えば、「選択肢がたくさんあること」みたいな使われ方)の輪郭が少し見えかけてきたような。
私の好きな、「日記」「食べ物」だけでなく、「多様性」を本来の場所に戻すには、どう考えればいいかのヒントとなるような本でした。
これを読むと決めた人、もう読んだ人へ
「ジョナサン・ゴールド氏」について、あなたがNetflixの会員なら、本著でも触れられている「ザ・シェフ・ショー」(ゴールド氏追悼回)のほかに、「アグリーデリシャス(UGLY DELICIOUS)」の「タコスにくるまれて」と「家庭料理がもたらすもの」の回を観ると、ゴールド氏の人柄やLAフードに対する愛情についての理解が一層しやすくなると思います。