memo/読書記録/短くて恐ろしいフィルの時代
Jan 6, 2022
長さの問題ではなく
国民が一度に一人しか入れない<内ホーナー国>
<内ホーナー国>を取り囲む<外ホーナー国>
<外ホーナー国>を幅15センチ程の帯状の輪となって取り囲む<大ケラー国>
八角形のスコップ状の触手
振り子のように揺れ動く半透明の皮膜
鎖骨からメガホンをはやしているマスコミ
スライドラックにボルトで固定している脳が外れるたびに熱狂的な演説をする<外ホーナー国>の“フィル”による<内ホーナー国>に対する私怨から始まった暴力
2005年にアメリカで発表されたこの作品は、当時の世相を表しているようにも、今を写しているようにも感じる
ずっと続いている出来事を描いているのだとしたら、悲しく恐ろしいのだけれど、最初から最後までユーモアに満ち溢れた文体で描かれていて、眠りに落ちる前だとか、雨の日や電車の中でふと思い出すことになるような作品でした
そして、フィルのモノローグが“かゆうま”調になるところがお気に入り
同じ作者・訳者の「十二月の十日」も読もうと思います。