memo/読書記録/ブルースだってただの唄

Apr 17, 2021

集団の歴史を背負う

著者:藤本和子
装幀:安野光雅
発行者:喜入冬子
発行所:株式会社筑摩書房
印刷:明和印刷株式会社
発行年数:2021年2月5日2刷発行

本著は、1980年代のアメリカで行われた黒人女性への聞き書きです。
黒人、女性に対する差別、不公平の中でどう生きてきたのかが、綴られています。
驚いたのは、内容が、彼女たちのことばが、30年経っているとは思えないほど、古くなっていないということです。
いや、冷静になれば、驚くことではなく、“古くない”からこそ、「Black Lives Matter」、「Stop Asian Hate」運動、男女格差の問題が起きているのだから。
“黒人”、“アジア人”ではなく、ひとりひとりに声、顔、人生があるんだという、当たり前であるはずなことを改めて考えさせられました。
「女たちの家」という釈放前女性たちのためのセンターの住人・ブレンダの「あたしは、あたしの主人(あるじ)になりたいんだから!」ということばに、深く頷きました。

著者の藤本和子さんはリチャード・ブローティガンをはじめとして、70年代から翻訳家として活躍されています。

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