memo/読書きろく/エレンの日記

時代の鏡とは限らない

著者:エレン・フライス/Elein Fleiss
訳者:林央子
装丁:須山悠里
編集:平岩壮悟
校正:聚珍社
印刷・製本:シナノパブリッシングプレス
発行者:足立享
発行所:アダチプレス
2020年2月29日 初版第1刷発行

2020年3月/東京都写真美術館で開催予定だった「写真とファッション 90年代以降の関係性を探る」を前に、この本を購入した。
本を開くまでに、展示は休止となり、私は、家に引きこもる生活になった。
(展示は6/2に再開され、7/19まで会期は延長されたが、私は家から出なかった)

私が雑誌「流行通信」を読み始めたのは、2003年から。
友人に「これおもしろいよ!」と勧めてもらったのが理由。
家でインターネットができる環境はあったけど、ネット内に“おもしろい”情報があまりなかったし、見つけるためのコツもまだわかっていなかった。“おもしろい”を見つけるには、雑誌が速かった時代。

その「流行通信」で2001年〜2005年にかけて連載されていたのが、「Elein’s Diary」。
著者のエレン・フライスは、1992年のパリで商業主義とは距離をとって、ファッション、アートやカルチャーを紹介する雑誌「Purple Prose」(のちに「Purple」に改名)の創刊者のひとり。
書かれているのは、彼女の日常と、旅、思った事、考えている事、行動する事、計画など。
「Diary」といっても連載なので、読者がいるのは、書いている時からわかっていてる。
それでも、自分の考えを曖昧にしたり、誤魔化したりをしない文章が当時から好きだった記憶がある。
日記というコンセプトだからそうしているのかもしれないけれど、賛否や批判を恐れないで、書いているというより、そういう事がはなから想定になく、「自分の考え」を書く事に躊躇する必要などないという感じ。
かといって、押し付けがましかったり、傲慢な文章にはなっていない。それは、訳者が著者の人柄を反映させていてるのかもしれない。

日記は必然的に書かれた場所・時代を反映させるけど、考え方、ものの捉え方、何を大切にすべきかは、いつだって重要だ。
20年前の連載が本になったことに驚いたけど、改めて読んでみて、今この本があってうれしい気持ちになった。

お気に入りの一文は「私のしていることを例えるなら、産業活動というよりはむしろ手仕事になるだろう」です。

Parallel Diaries