memo/観賞きろく/エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館

Aug 27, 2021

ドーキンス博士、エルヴィス・コステロ、パティ・スミスよりも

1990年に公開された、「パリ・ルーヴル美術館の秘密 La Ville Louvre」を何度か繰り返し観ました。
タイトル通りルーヴル美術館ののバックヤードやそこで働く人、関わっている人を映したドキュメンタリー映画。
学芸員、作品の修繕や保管のプロ、作品の搬送業者、など、主に「働くひと」にフォーカスを当てていると感じる作品。
そこから、パリ・オペラ座のドキュメンタリーなど、特定の人物だけでなく、組織(集団)を扱った作品を、あれこれ観ていて、今回も、「図書館で働くひとたちの作品かな」と思って観たのが、「エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館」。

全然そうじゃなかった。
「働くひと」だけでなく、「利用するひと」にもフォーカスを当てていました。
さまざまな地域にある分館の様子では、消防士や起業支援団体、図書館の無償パソコン講座などの担当者がプレゼンする求人イベント、放課後教室(学童のようなもの)、「ションバーグ黒人文化研究センター 」館長・カリル・ギブラン・ムハンマド氏(撮影当時)の演説、移民の利用が多い地域にある「新しいアメリカ人(New Americans)」のコーナー、自宅で利用できるwifi機器の貸し出しに並ぶ人々、「舞台芸術図書館」での手話通訳者による舞台通訳の実演、電子書籍貸出の導入、図書館がかかえる課題を話し合う場面などで、「ニューヨーク」という都市の特徴を浮き彫りにしていました。

繰り返し職員たちのミーティングで出てくることば「図書館は単なる書庫ではない」。
市民にいかに公平に利用してもらえるかというところと、運営資金の61%(撮影当時)は市から、残りは民間や寄付から成り立っている立場からくるジレンマまで映し出されていました。

監督のフレデリック・ワイズマン氏は「テーマは決めずに撮影して、編集に時間をかける」という手法で今回も同じように作られたそうですが、そのことから考えると「ニューヨーク公共図書館」を通してみた、撮影当時(2015年ころ)の“ニューヨーク”を感じることができたのではと思います。

監督・録音・編集・製作:フレデリック・ワイズマン
原題:Ex Libris – The New York Public Library|2017|アメリカ|205分|DCP|カラー
配給:ミモザフィルムズ/ムヴィオラ
公式サイト:http://moviola.jp/nypl/

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